マドリッド協定議定書による欧州連合(EU)の指定

欧州連合(EU)はマドリッド協定議定書の締約国であるため、国際登録において欧州連合を指定することで、EU加盟国全域における統一的な商標保護を求めることが可能です。

EU加盟国のうち数ヶ国以上に保護を求める場合、その他の事情も考慮すべき点はあるものの、各国での個別登録よりも費用対効果が高い可能性があります。

欧州知的財産庁(EUIPO)1の国際登録に係る商標の取扱い

例えば、英国や米国では、国際登録に係る商標は可能な限り国内出願と同様に扱われますが、EUIPOでは、国際登録に係る商標について、同庁への直接出願とは異なる制度を採用しています。

EUIPOは、世界知的所有権機関(WIPO)から国際登録の詳細(EUIPOにおける手続のために第二言語が指定されている場合に限る)を受領すると、EUTM公報において書誌的情報および指定商品役務の区分を再公表しますが、商品役務のリストは再公表しません。

通常、非常に迅速に行われる再公表の後、

EUIPOは以下の手順を踏みます:

•    調査報告書の作成 - 調査報告書の写しを受け取るには、別途請求を行う必要があることに留意してください;
•    方式審査(該当する場合、先願の優先権主張や使用に関する規定を含む);
•    絶対的拒絶理由の審査および異議申立。

拒絶理由および異議申立

絶対的拒絶理由がある場合、EUIPOはWIPOに対し、2ヶ月の回答期限を定めた通知を送付します。WIPOは、その通知を国際登録の名義人に転送します。回答は、EUIPOに直接提出する必要があります。国際登録の名義人が欧州経済領域(EUに加え、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーを含む)に所在しない場合は、代理人を経由して提出しなければなりません。

絶対的拒絶理由に関するEUIPOとのやり取りは、直接出願された欧州連合商標(EUTM)2出願の場合と同様です。ただし、商標を許可するか拒絶するかに関する最終決定のみがWIPOに通知されます。

国際登録に係る商標は、あたかもEUTM出願であるかのように絶対的拒絶理由について審査され、絶対的拒絶理由がある場合には暫定的拒絶理由通知が、絶対的拒絶理由がない場合には商標の中間ステータスがWIPOに送付されます。

異議申立期間は、再公表から1ヶ月が経過した時点から始まる3ヶ月間です。

異議申立が受理された場合、暫定的拒絶理由通知がWIPOに送付されます。

その後、異議申立は、直接出願されたEUTM出願に対して行われるものと同様の手続に従います。

出願手続の完了

出願手続後の4つの想定されるシナリオを以下に示します。

•    絶対的拒絶理由通知、異議申立および第三者からの情報提供がない場合:保護付与通知書がWIPOに送付され、2回目の公表(公告)が行われます。これにより、国際登録に係る商標は直接出願されたEUTMと同様の効力を有することになります。
•    絶対的拒絶理由通知はあるが、異議申立はない場合:EUIPOにおいて最終決定が下されるまで手続が継続され、その時点でWIPOに通知が送付されます。絶対的拒絶理由が解消した場合、保護付与通知書がWIPOに送付され、2回目の公表(公告)が行われます。これにより、国際登録に係る商標は直接出願されたEUTMと同様の効力を有することになります。
•    異議申立はあったが絶対的拒絶理由に基づく異議申立てはない場合:異議申立に関する最終決定時に、その結果を示す書面がWIPOに送付されます。異議申立が全部または一部で却下された場合、2回目の公表(公告)が行われ、国際登録に係る商標は直接出願されたEUTMと同様の効力を有することになります(異議申立が一部認められた場合は、限定された権利範囲となります)。
•    異議申立および絶対的拒絶理由通知の両方が存在する場合、異議申立は受理審査までしか進まず、絶対的拒絶理由通知について最終決定が下されるまで、異議申立は停止されます。
絶対的拒絶理由が認められた場合、WIPOに通知が送付され、異議申立は終了し、異議申立手数料は返還されます。絶対的拒絶理由が解消された場合、異議申立は再開されます。最終的な異議決定が下されると、その結果を示す通知がWIPOに送付されます。異議申立が全部または一部却下された場合、2回目の公表(公告)が行われ、国際登録に係る商標は直接出願されたEUTMと同様の効力を有することになります。

変更

EU指定が取り下げられた場合、拒絶された場合、または効力を失った場合、拒絶の原因とならなかった国については、マドリッド協定議定書に基づき各国指定へと変更することができます(ただし、マドリッド協定議定書に加盟していないマルタは例外であり、国内出願へ変更する必要があります)。複数の国を対象とする変更の場合、個別に各国で出願する(直接出願されたEUTMが拒絶された場合の唯一の選択肢となる)他の方法に比べ、費用が抑えられます。変更の申請は、EU指定の取下げ、効力の消滅、または拒絶が確定してから3ヶ月以内に行う必要があります。

 

1 以前はOHIMとして知られています

2 以前は欧州共同体商標(CTM)として知られています

ここに示した情報は、簡略化したものであり、法律ならびに実務の決定的な情報ではありません。