私共の異議申立サービスの詳細と、私共が欧州で異議申立の代理人として最適である理由はこちら。また、私共の最新の調査による2022年の最も異議申立の多い特許や、異議申立に関するブログもご覧ください。

欧州特許が付与された時点で、これに対する異議申立が可能となります。異議申立は欧州特許庁(EPO)で取り扱われ、全指定国で有効な中央一括手続となります。すなわち、EPOでの異議申立手続は、国内の無効または取消に関する手続とは別個の追加の手続です。

異議申立手続の時間軸
以下は、異議申立手続が2016年のEPOの合理化された手続の導入以降どのように変化したかをまとめたものです。詳細は、私共のブログEPO streamlining: the opposition timeline tightensをご覧ください。

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異議申立期間

欧州特許に対する異議申立は、欧州特許を付与する旨の公告後9ヶ月以内であればいつでも可能であり、これは付与後の手続となります。異議申立期間を延長することはできません。異議申立期間中に、異議申立書を提出し、異議申立手数料を納付しなければなりません。

異議申立を行うことができる者

法人または自然人の区別なく、誰でも異議申立を行うことができます。拡大審判部の判決によれば、名目上の異議申立人(「ストローマン」と呼ばれる)も含まれ、これによって、異議申立人の実態を隠すことが可能です。

ただし、そのような手続は、その特許権者自身が異議申立をしていることを隠すようなもの(自己に対する異議申立は禁じられている)や、EPOにおいて不適切な代理人を立てるようなものであってはなりません。

特許権者は、自己の特許が付与された後に一括の取消または限定を請求できますが、異議申立手続の方がかかる取消または限定の手続より優先されます。

異議申立の手数料

異議申立期間中に、880ユーロの異議申立手数料を納付しなければなりません。ただし、全体の費用はこれよりはるかに多額になります。

異議申立書

異議申立書においては、申立人および異議申立の対象となる特許のそれぞれの詳細と共に、

  • 異議申立の範囲 (どのクレームに異議を申し立てるか)、および
  • 異議申立の理由を述べると共に、
  • 異議申立の根拠となる証拠(先行技術等)、事実、および意見を示さなければなりません。

異議申立が認められるためには、応答すべき申立の内容を特許権者と異議部が異議申立書から理解できるようでなければなりません。

異議申立の理由

異議申立の理由となり得るものは以下の3つのみです。

  • クレームされた発明に特許性がない(発明が特許適格性の対象外だったり、新規性や進歩性がないため)
  • 特許明細書が、その発明を当業者が実施できる程度に、十分に、明確に、かつ完全に開示していない(「開示不十分」)
  • その欧州特許の発明が、当初提出された欧州特許出願の内容を超えている(「新規事項の追加」)

最初の手続 特許権者の意見書

異議申立は、通常3名で構成される異議部が担当します。異議申立書は、適法性について審理された後、特許権者に送付され、EPOは、4ヶ月の期間を指定し、この期間内で、特許権者が異議申立に対する意見書を提出するよう求めます。この4ヶ月間は、特別な理由があれば延長可能です。

特許権者が意見書を提出しなくても、EPOは、異議申立書を職権審理し、異議申立書の提出以降に異議申立人および特許権者が提出した提出物に基づいて決定を下します。

特許権者の意見書がその後異議申立人に送付され、異議申立人が望めばこれに応答することができますが、義務ではありません。予め注意すべきこととして、異議申立人または特許権者は、自分に不利な決定を下す意思を異議部が固めた場合に備え、最初に文書を提出した時点で意見聴取(「口頭審理」)を要請すべきです(以下も参照)。これは、異議部は、影響を受ける当事者から口頭審理が要求されない限り、特許権者が異議に応答した直後に即決する可能性があるからです。

特許権者が異議申立書に対する意見書を提出してから半年から1年後に、異議部は、予備的で拘束力のない見解を含む口頭審理召喚状を送付し、当事者は、それぞれの意見がEPOにどう受け取られたかを確認することができるようになります。EPOの新手続運用開始以降、召喚状は特許権者の応答後3ヶ月程度で発行されるのが一般的でしたが(上記時間軸参照)Covid-19の大流行の結果、これより長く、すなわち通常6ヶ月から1年程度かかるようになっています。

請求

特許権者はしばしば、意見書提出の段階、あるいは異議申立手続の後の段階でも、複数の「請求」を行います。これらは、「主請求」、「第一副請求」、「第二副請求」などと呼ばれます。これらは、クレーム補正による一連の譲歩できる条件を表すものであり、特許権者は、これらを順番にEPOの審理させる権利を有します。

ただし、先の順番の請求が(特許)許可できないと判断された後にのみ、後の順番の請求が審理されることから、請求の順番を注意深く選択する必要があります。これらの請求のうち1つが許可できると判断された場合、その特許は、許可されたその請求を基に特許が維持されることになります。

遅れて提出された証拠または請求

異議申立手続において何か(先行技術文献等)を提出するのであれば、最初に異議申立書と共に提出することをお勧めします。同様に、特許権者による請求は、意見書提出の段階で提出するのが最善策です。厳密にいうと、それ以降に提出された証拠を手続で取り扱うことの可否は、EPOの裁量で決められます。「非常に重要な関連性」がある場合、通常は許容されます。有効性に疑義がある特許は公共の利益に反して存続が認められるべきではないというのが、EPOの基本的な原則だからです。

ただし、遅れて提出された追加的証拠の関連性が少なければ少ないほど、また、その提出が遅れれば遅れるほど、許容される可能性はそれだけ少なくなります。したがって、異議申立の請求を検討する際には、どのような証拠を提出するにせよ、異議申立期間が満了する前のできるだけ早い時期にその準備(探索や実験データの準備等)を始めることが重要です。

口頭審理の準備

上述のように、異議申立において最低でも一方の当事者(通常は両当事者)が「口頭審理」を要請するのが通常です。口頭審理とは、異議部に対して当事者が自らの申立内容を口頭で述べる審理です。あらゆる当事者に発言権があるというのが欧州特許条約の中核にあることから、異議部は、この要請を拒否することはできません。

口頭審理に先立って、EPOは日付を指定し、議論のポイントを示します。通常そこには上述した予備的見解も併記されています。日付を変更するのは通常かなり困難であり、「重大かつ実態を伴う理由」を示さなければなりません。

EPOはまた、口頭審理の通常1ヶ月前(2ヶ月前ということもあります)の日付を指定し、その日までに口頭審理において検討すべき新しい証拠、または(特許権者から)新たな主請求もしくは副請求を提出させます。その日以降提出された新しい事実および証拠は、手続の対象が変わったという理由で認められない限り、考慮する必要はありません。

口頭審理

口頭審理は、ミニ裁判のようなものですが、それほど堅苦しいものではありません。特許がされた言語で行われますが、要請があれば、欧州特許条約の別の公用語への同時通訳が許可されます。理論的には、いずれの当事者も、他の当事者(異議部を含む)の意表を突くようなことはしてはなりませんが、残念ながらしばしばこれが起こります。口頭審理は、本来、提出済みの証拠を基に、通常はすでに提示された主張を繰り返したり更に展開することを目的とします。

時には、証拠を提供するために証人が呼ばれます(ただし、何らかの通知を行い、正式な要件が満たされることを条件とします)。通常、各当事者の欧州特許弁理士が代理して意見を述べます。決定はほとんど常にその口頭審理の場で下されて言い渡され、その後(通常は1ヶ月から6ヶ月後)、正式な決定が書面で通知されます。

口頭審理後書面による決定までにいずれかの当事者が文書を提出しても、考慮されることはありません。口頭審理については、私共のoral proceedings law and practice guideをご覧ください。

控訴(審判)

異議部の決定が不利であった当事者は、審判請求書および審判請求理由書を、書面による決定から2ヶ月以内および4ヶ月以内にそれぞれ提出することができます。これらの期限の延長は不可です。

異議申立にかかる費用

異議申立に関する費用には、大きな幅があります。実質的な異議申立書を作成し提出する費用は、申立内容の難易度および先行技術の広さによって異なりますが、通常は1000030000英ポンド (1200040000米ドル)の範囲と見込まれます。ただし、その分量と複雑さによっては、費用がかなり高くなることもあります。その後、異議申立手続中に当事者間のやり取りが12度生じ、口頭審理の準備と参加を行うような事案の場合、推定費用は1000040000英ポンド (1200050000米ドル)の範囲と見込まれます。審判請求した場合は、おそらく、同様の費用が発生するでしょう。

理論上は、例えば調査の厳密さを緩めたり分析の深さを加減することによって当該費用を劇的に減らすこともできますが、これはお勧めできません。多くの場合、徹底した準備が、特許取消(異議申立人側)や特許維持(特許賢者側)の成功の鍵となるからです。

手続期間の長さ

EPOが新たに始めた手続「Early Certainty(確実性の早期化)イニシアチブでは、単純な事案の場合、異議申立期間の満了後15ヶ月以内に決定が下されるべきとされ、EPOはこの目標の達成に向けて取り組んでいます。

 

 

ここに記載する情報は単純化されたものであり、法律やその実務に関する断定的な記述と受け止められるべきものではない

This information is simplified and must not be taken as a definitive statement of the law or practice.  Please refer to our English-language website for more information.

Topics: Patents - General , Patents - European , IP Protection

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